流域レジリエンス

■ 実施計画 ■

1.期間ごとに実施しようとする内容、実施手法

(1)実施内容(平成23年度は四半期ごと、平成23年度以降は年度ごと)

各分野は連携して、下記のスケジュールで、各対象河川流域においてワークベンチを構築し、ステークホルダーの参入による意思決定を支援するシステムを構築する。
平成23年
第3四半期
平成23年
第4四半期
平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
浅川 ニーズの把握 ワークベンチ
基本構想の整理
ワークベンチ
試作
ステークホルダー
参入
ワークベンチ
改良
持続可能性の
モニタリング
朱太川
Huong川 基礎資料収集 ニーズの把握 ワークベンチ
試作
ステークホルダー
参入
ワークベンチ
改良
Sangker川
Citarum川
Nyando川
能力開発 ニーズの把握 プログラム設計 国内で試行 海外で試行 国内で実施 海外で実施
講義 設計 実施 実施 実施 実施
教科書 構想取りまとめ 執筆分担 執筆 編集 発行

(2)実施手法

1) 気候分野

平成23年第3四半期: 季節予測モデルの高度化、初期値化法検討
平成23年第4四半期: 季節予測モデルの高度化、初期値化法検討
平成24年: 過去30年の事後予測実験
平成25年: 過去30年の事後予測実験、水循環予測可能性検証
平成26年: 事後予測実験結果の提供、利用支援、システム改良のための感度実験
平成27年: 季節予測可能性についての知見のまとめ、予測システム改良への課題の整理

2) 水循環分野

・ データ同化、分布型水循環モデルの統合利用による水循環情報の提供
平成23年第3四半期: 国内2河川の水問題の把握と海外4河川の河川流域基礎資料の収集
平成23年第4四半期: ワークベンチの水循環、水管理部分の基本構想の整理
平成24年: 同化システムと分布型水循環モデルを用いた統合的水資源管理システムの開発と実装
平成25年: 地域のステークホルダーのニーズに応じた統合的水資源管理システムの改良
平成26年: 新たな衛星データ(GCOM、ALOS2)を組み込んだ統合的水資源管理システムの高度化
平成27年: 長期運用に供するシステムへの改良と結果の取りまとめ
・ 対象河川流域における河川流量と河床形態、生物多様性の関連性の検討
平成23年第3四半期: 国内2河川の水問題の把握と海外4河川の河川流域基礎資料の収集
平成23年第4四半期: 現地視察によるもとづく調査戦略の立案
平成24年: 河川中流域における河床形態の把握と粒度組成の把握,氾濫原観測と水路実験
平成25年: 河川上流域における河床形態の把握と土砂生産特性の把握
平成26年: 河川川下流域における河川・氾濫原の河床形態の把握
平成27年: 土砂動態と河床形態の特徴に関する取りまとめ

3) 河川流域物質循環分野

・ 長期地表面環境データベース、水循環予測情報、物質循環モデルを用いた月単位の窒素循環・窒素収支・水質濃度の提供
平成23年第3四半期: 国内1河川と海外2河川の物質循環モデルのための基礎資料の収集
平成23年第4四半期: 流域土地被覆情報の整理
平成24年: 各地域の負荷源ごとの原単位の推定
平成25年: 長期地表面環境データベース、水循環予測情報を用いた物質循環モデルの開発と実装
平成26年: 衛星データを組み込んだ統合的物質循環システムの高度化
平成27年: 長期運用に供するシステムへの改良と結果の取りまとめ

4) 生物多様性分野

・ 地域住民参加型の生物多様性データ収集と地球観測データとの統合による地域環境評価法と絶滅危惧種の保全や生態系サービスの向上を目指す土地利用と河川管理のあり方の提案
平成23年第3四半期:
− 流域における住民参加型生物多様性データ収集プログラムの設計のための現地調査(魚類等)および聞き取り調査
− 衛星データ等の収集
− 絶滅危惧種保全のためのデータ収集
平成23年第4四半期:
− 住民参加型生物多様性データ収集プログラムの運用の試行
− 生物多様性情報と河川循環情報の統合・分析・評価のためのフォーラム型調査
− 流域自治体の生物多様性戦略策定への生物多様性情報の提供
平成24年:
− 流域における住民参加型生物多様性データ収集プログラムの本格的運用開始
− 流域森林および湿原の生物多様性調査および衛星データ等との統合解析の試行
− 絶滅危惧種に関する収集データを用いた空間情報解析の試行
− 生物多様性情報と河川循環情報の統合・評価のための共同調査
− 流域自治体の生物多様性戦略にもとづく政策の策定にむけた生物多様性情報の提供
平成25年:
− 流域における住民参加型生物多様性データ収集プログラムの本格的運用開始
− 流域森林の生物多様性調査および衛星データとの統合解析
− 絶滅危惧種と湿地に関する収集データを用いた空間情報解析
− 生物多様性情報と河川循環情報の統合・評価
− 流域自治体の生物多様性戦略にもとづく河川管理政策への情報の統合的提供
平成26年:
− 流域における住民参加型生物多様性データ収集プログラムの収集されたデータの統合解析による改善
− 流域森林の生物多様性調査および衛星データとの統合解析による評価地図の作成
− 絶滅危惧種と湿地に関する収集データを用いた空間情報解析結果と河川循環情報にもとづく氾濫原湿地再生ポテンシャルマップの作成とそれにもとづく氾濫原湿地再生実験
− 流域自治体の生物多様性戦略にもとづく氾濫原湿地再生計画への統合的情報提供
平成27年:
− 住民参加型生物多様性データ収集プログラムとその地域づくりへの活用の総括
− 氾濫原湿地再生計画の改善のための生物多様性情報および水環境情報を統合した情報提供
− 森林の生物多様性および水環境からみた適切な管理方策のための統合・評価と流域自治体の計画づくりの援助

5) 都市河川分野

・ 水質を含めた都市水害予測モデルの構築
平成23年第3四半期: 国内1河川と海外2河川の主要都市水インフラ基礎資料の収集
平成23年第4四半期: 都市域における地盤高と下水道システム詳細データ情報の結合・整理
平成24年: 都市下水路システムデータ構築と都市水害予測モデルシステムの開発
平成25年: 洪水時における水質汚染評価モデルへの高度化
平成26年: 流域水循環モデルとの連動した都市水害予測モデルへの高度化
平成27年: 洪水に対する都市域における適応策と結果の取りまとめ
・ 包括的な都市水環境保全情報と管理手法の提供と対応策のオプションの提案
平成23年第3四半期: 国内1河川と海外2河川の水質観測データ、水質規制制度の収集
平成23年第4四半期: 都市活動と汚濁負荷量データ整理と都市河川環境質の総合指標の開発
平成24年: 気候変動に伴う水質変化の評価と水を介した衛生状態指標の開発
平成25年: 洪水時と渇水時における都市河川環境質の評価と水質管理手法の提案
平成26年: 流域水循環モデルと連携した都市水環境管理モデルを活用した対応策の検討
平成27年: 気候変動を考慮した長期水環境管理の方策とモニタリングシステムの提案

6) 農業分野

・ 地球観測情および地域詳細情報と作物モデルによる作物収量変化情報、農作支援情報の提供と、気候変動にともなうレジームシフトや極端事象の変化への対応策のオプションの提案
平成23年第3四半期: 農村河川(国内1河川,海外2河川)流域の農業の把握と基礎資料の収集
平成23年第4四半期: ワークベンチの農業部分の基本構想の整理
平成24年: 地球観測情報および地域詳細情報を用いた作物モデルの開発とワークベンチへの実装
平成25年: 気候変動への対応や農作支援情報提供に応じた作物モデルの改良
平成26年: 地域のステークホルダーのニーズに応じた情報提供システムへの改良
平成27年: 気候変動に伴う変化に対する対応策の提案と結果の取りまとめ

2.期間ごとの達成目標

(1)平成23年度達成目標(四半期ごと)

1) 地球環境情報統融合ワークベンチを構築

平成23年第3四半期:
国内2河川の環境問題解決のためのニーズを把握し、海外4河川の検討基礎資料を収集する。
平成23年第4四半期:
流域レジリエンス向上のための地球環境情報統融合ワークベンチの基本構想を組み立てる。

2) 人材育成

平成23年第3四半期:
東京大学教養学部一般教育セミナールにおける学部1,2年生向けの1学期相当の講義を設計し、教科書出版構想を取りまとめる。 また、国内外の河川流域での能力開発プログラムの設計のためのニーズを取りまとめる。
平成23年第4四半期:
東京大学教養学部一般教育セミナールにおける学部1,2年生向けの1学期相当の講義を設計し、教科書出版構想を取りまとめる。 また、国内外の河川流域での能力開発プログラムを設計する。

(2)平成23年度以降の達成目標(年度ごと)

1) 地球環境情報統融合ワークベンチを構築

平成24年:
国内2河川流域の地球環境情報統融合ワークベンチを試作し、海外4河川流域のニーズを取りまとめる。
平成25年:
国内2河川流域について、流域の様々なステークホルダーの参加を得て、地球環境情報統融合ワークベンチの利用可能性を検討する場を構築する。 また、海外4河川流域のワークベンチを試作する。
平成26年:
国内2河川流域について、ステークホルダーの検討を経て、地球環境情報統融合ワークベンチを改良する。 また、海外4河川流域について、流域の様々なステークホルダーの参加を得て、地球環境情報統融合ワークベンチの利用可能性を検討する場を構築する。
平成27年:
国内2河川流域について、地球環境情報統融合ワークベンチの持続的利用性を評価する。 また、海外4河川流域について、ステークホルダーの検討を経て、地球環境情報統融合ワークベンチを改良する。

2) 人材育成

平成24年:
東京大学教養学部一般教育セミナールにおける学部1,2年生向けの1学期相当の講義を開講し、教科書執筆分担を決める。 また、国内の河川流域での能力開発プログラムを試行する。
平成25年:
東京大学教養学部一般教育セミナールにおける学部1,2年生向けの1学期相当の講義を開講し、教科書を執筆する。 また、海外の河川流域での能力開発プログラムを試行する。
平成26年:
東京大学教養学部一般教育セミナールにおける学部1,2年生向けの1学期相当の講義を開講し、教科書を編集する。 また、国内の河川流域での能力開発プログラムを実施する。
平成27年:
東京大学教養学部一般教育セミナールにおける学部1,2年生向けの1学期相当の講義を開講し、教科書を出版する。 また、海外の河川流域での能力開発プログラムを実施する。