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総合科目D人間・環境一般 (2010年夏学期)
 

 

● 基本情報

 授業科目名  人間・環境一般    時間割コード  11672
 曜限  火5 16:20-17:50    開講区分  夏学期
 単位数  2    教室  511
 対象クラス

 1年 文科 理科   2年 文科 理科

● 担当教員

 小池 俊雄
01, 02
 大学院工学系研究科 / 地球観測データ統融合連携研究機構
 今須 良一
03
 大気海洋研究所 / 地球観測データ統融合連携研究機構
 木本 昌秀
04
 大気海洋研究所 / 地球観測データ統融合連携研究機構
 鷲谷 いづみ
05
 大学院農学生命科学研究科 / 地球観測データ統融合連携研究機構
 沖 大幹
06, 07
 生産技術研究所 / 地球観測データ統融合連携研究機構
 溝口 勝
08, 09
 大学院農学生命科学研究科 / 地球観測データ統融合連携研究機構
 柴崎 亮介
10, 11
 空間情報科学研究センター / 地球観測データ統融合連携研究機構

 喜連川 優

12, 13
 生産技術研究所 / 地球観測データ統融合連携研究機構

 

● 講義題目

地球観測データ統融合の研究

● 授業の目標と概要

地球環境は自然系と人間系のサブシステムが相互作用しながら変動しており、その結果甚大な災害を引き起こし、生態系サービスの低下を招き、エネルギー、健康、水資源、農業などの公共的利益分野に多大の影響を与えている。このような事態が社会経済的活動の制約条件となるばかりでなく、人類の生存すら脅かす事態ともなっているという懸念は、科学研究グループのみならず政治的リーダの国際的共通認識となっている。そこで、地球観測データを利用して、地球環境の理解を深め、予測能力を高め、危機管理や資源管理等における健全な政策決定に資する情報を提供することが強く求められている。

地球観測を効果的に用いて、地球環境問題を解決に導く知を集積し、国際社会に貢献できる公共的利益を誘導するには、大きな二つの問題を解決しなければならない。第一は、とりわけ21世紀に入り利用すべき多様なデータや情報の量が爆発的に増大し膨大な量になっており、またそれが分散しているために、その取り扱いに多大の労力と時間を強いられ、本来科学者の任意性に任されるべき対象とする事象、仮説の形成、実証の方法の選択の余地が相対的に狭められていることである。第二は、人間圏を含む地球システムに関する科学の知は、その複雑性に対応して分化、系統化が進み、系統間で知が移転、共有できない状況となっていることである。これらの結果、部分システムにおける科学の知の集積は進んでも、それが全体システムに反映されない、あるいは全体システムや他の部分システムの影響を当該部分システムに取り込めないという事態に陥っており、本質的な解決から程遠い状況にある。

このような科学的、社会的な喫緊のニーズに応えるためには、各学問分野が相互に連携して問題解決のブレークスルーを見出すことがまず必要である。そのためには様々な情報源から得られる多様で超大容量のデータへのアクセスと解析、利用を容易にするコアとなるデータシステムの構築に取り組まなければならない。とりわけ地球観測衛星の活用機会が増大し、数値モデル出力の急増加を考慮すると、データ量は必然的に超大容量となっている。また分野毎のデータや情報の質の違いや記述の多様性は、分野間での相互利用性を困難にしている。これらは情報科学技術の先端的研究開発課題でもある。

本講義では、地球観測分野、情報科学技術分野、災害や農業などの公共的利益分野が連携して、地球観測データを効果的、効率的に統合し、情報を融合する実証的なデータシステムを開発し、地球環境変動の理解、予測、対応策に関わる統合的な科学知を生み出す新しいサイエンスの方向性を講述するとともに、社会へ適用して公共的利益に貢献するプロセスを紹介する。

● キーワード

データ統合 相互流通性 地球観測 気候 水循環 生態系

● 授業計画

※授業終了後に講義資料を掲載 ※講義資料を開くにはパスワードが必要です

 01週  データ統合・解析システム入門
 4/13
 大学院工学系研究科社会基盤学専攻・教授 / 小池 俊雄
地球規模観測や各地域での観測で得られたデータを収集、永続的な蓄積、統合、解析するとともに、社会経済情報などとの融合を行い、地球規模の環境問題や大規模自然災害等の脅威に対する危機管理に有益な情報へと変換して、国内外に提供することによって、我が国の総合的な安全保障や国民の安全・安心の実現に資することを目的とする「データ統合・解析システム(DIAS)」の概要を講術する。
 
 02週  地球観測による洪水防御、水資源有効利用のための高度情報の提供
 4/20
 大学院工学系研究科社会基盤学専攻・教授 / 小池 俊雄
国内外の水問題に対応するために、データ統合・解析システム上で、地球観測データや数値モデル出力、土地利用や社会経済情報を統合的に利用して、洪水軽減と効率的な水資源利用のための実河川管理のプロトタイプについて講術する。
 
 03週  人工衛星データを用いた温室効果気体とエアロゾルの高次解析データベースの構築
 4/27
 大気海洋研究所・准教授 / 今須 良一
地球温暖化問題のキーパラメータである温室効果気体とエアロゾルに関する高次解析データベースの構築と、提供するための物質輸送モデルを組み合わせた独自の衛星データ解析システムについて講術する。
 
 04週  気候・気象予測情報の高度化
 5/11
 大気海洋研究所・教授 / 木本 昌秀
気候モデルによる地球温暖化実験結果の影響評価研究への利用促進ならびに気候モデルを用いた実験的季節予測システムの精度向上の研究開発について講術する。

04週 講義資料(木本) [PDF]

 
 05週  生物多様性の広域モニタリングの高度化
 5/18
 大学院農学生命科学研究科・教授 / 鷲谷 いづみ
生物多様性条約と生物多様性総合評価などの国内の生物多様性関連政策を概説し、生物多様性の保全の実践およびモニタリングにおける市民参加の必要性とその具体例を国内外の取り組みから紹介する。特に、侵略的外来生物セイヨウオオマルハナバチを対象に実施してきた市民参加型のモニタリングについては、問題の所在、データの統合・解析・公開の一連のプロセス、および社会的な反応に関して、DIASにおける取り組みを中心に解説する。
 
 06週  地球温暖化がグローバルな水循環や水資源管理、水圏系生態系、食料生産に及ぼす影響のアセスメントのための地表面環境データベースの構築 ①
 5/25
 生産技術研究所・教授 / 沖 大幹
気候変動、水循環、生態系・食料生産に関わる世界規模の現状把握と将来展望の作成に不可欠な20世紀を中心とした長期地表面環境データベース、衛星降水マップを導入した準リアルタイム地表面環境データベースの開発と、特に河川・水資源・農業分野などへの応用について講述する。
 
 07週  地球温暖化がグローバルな水循環や水資源管理、水圏系生態系、食料生産に及ぼす影響のアセスメントのための地表面環境データベースの構築 ②
 6/1
 生産技術研究所・教授 / 沖 大幹
気候変動、水循環、生態系・食料生産に関わる世界規模の現状把握と将来展望の作成に不可欠な20世紀を中心とした長期地表面環境データベース、衛星降水マップを導入した準リアルタイム地表面環境データベースの開発と、特に河川・水資源・農業分野などへの応用について講述する。
 
 08週  安全な農作物生産管理技術とトレーサビリティシステムの開発 ①
 6/8
 大学院農学生命科学研究科・教授 / 溝口 勝
安全で安心かつ安定的で高品質な食糧供給を求める公共益の実現支援のために、コアシステム等で提供されるデータ群を効率的に統合して、農業生産管理支援情報や、地球温暖化による食料生産への影響等を、誰でも簡単に知ることができ、政策決定者の判断のよりどころになるシステムの研究開発とその応用について講述する。
 
 09週  安全な農作物生産管理技術とトレーサビリティシステムの開発 ②
 6/15
 大学院農学生命科学研究科・教授 / 溝口 勝
安全で安心かつ安定的で高品質な食糧供給を求める公共益の実現支援のために、コアシステム等で提供されるデータ群を効率的に統合して、農業生産管理支援情報や、地球温暖化による食料生産への影響等を、誰でも簡単に知ることができ、政策決定者の判断のよりどころになるシステムの研究開発とその応用について講述する。
 
 10週  データの相互流通性の実現支援システムの開発 ①
 6/22
 空間情報科学研究センター・教授 / 柴崎 亮介

多様なデータや情報を複数の専門分野間で共有するために必要となる下記の機能を有するデータの相互流通性の実現支援システムについて講術する。

  • 専門用語・概念や地理空間に関する共通知識(オントロジー)情報の作成・収集支援機能と蓄積・管理機能
  • データのカタログ情報(メタデータ)やデータ間の構造モデル(データスキーマ)の作成・収集支援と蓄積・管理機能
  • 蓄積された共通知識情報などを利用した情報の検索・変換の支援機能
 
 11週  データの相互流通性の実現支援システムの開発 ②
 6/29
 空間情報科学研究センター・教授 / 柴崎 亮介

多様なデータや情報を複数の専門分野間で共有するために必要となる下記の機能を有するデータの相互流通性の実現支援システムについて講術する。

  • 専門用語・概念や地理空間に関する共通知識(オントロジー)情報の作成・収集支援機能と蓄積・管理機能
  • データのカタログ情報(メタデータ)やデータ間の構造モデル(データスキーマ)の作成・収集支援と蓄積・管理機能
  • 蓄積された共通知識情報などを利用した情報の検索・変換の支援機能
 
 12週  データ統合・情報融合コアシステムの開発 ①
 7/6
 地球観測データ統融合連携研究機構長・生産技術研究所・教授 / 喜連川 優

不均質な情報源からの多様で超大容量のデータや情報の統合、融合を行うために必要となる下記の機能を有するコアシステム開発について講述する。

  • 効率的なデータの投入、品質管理を支援し、永続的・体系的に蓄積する機能
  • データの利用頻度や統融合履歴の情報を管理し、効率的に格納する機能
  • 視覚的、誘導的支援を可能にするデータ検索機能
  • 科学的、社会的に有用な情報を可視化によって探索する機能
  • 現象のメカニズム解明など科学的解析を支援する機能
  • 超大容量のデータの部分データや得られた有用な情報を容易に取得できる機能
 
 13週  データ統合・情報融合コアシステムの開発 ②
 7/13
 地球観測データ統融合連携研究機構長・生産技術研究所・教授 / 喜連川 優

不均質な情報源からの多様で超大容量のデータや情報の統合、融合を行うために必要となる下記の機能を有するコアシステム開発について講述する。

  • 効率的なデータの投入、品質管理を支援し、永続的・体系的に蓄積する機能
  • データの利用頻度や統融合履歴の情報を管理し、効率的に格納する機能
  • 視覚的、誘導的支援を可能にするデータ検索機能
  • 科学的、社会的に有用な情報を可視化によって探索する機能
  • 現象のメカニズム解明など科学的解析を支援する機能
  • 超大容量のデータの部分データや得られた有用な情報を容易に取得できる機能

● 授業の方法

オムニバス形式で、主としてパワーポイントファイルを用いて講述する。なお、パワーポイントファイルのpdf版は講義ホームページを通じて受講者にのみ公開される。

● 教科書・参考書

教科書は使用しない。プリントを配布する。

● ガイダンス

第1回授業日に行う。

● 履修上の注意

本学が進める知の構造化に関する諸活動に関心を払うことが望ましい。

● 成績評価方法

出席とレポートにより評価する。

テンプレート [WORD]

<レポートの出題と提出方法>
レポートは以下の通り、計3回実施する。

内容
出題(日程・出題者)
提出(日程・方法)

 第1回

 レポート

 ①小池 ②今須 ③木本

 の出題レポートから1つを選択し回答する

 ①第02週(4/20) 小池
 ②第03週(4/27) 今須
 ③第04週(5/11) 木本
 第05週(5/18)
 ⇒授業中に紙媒体で提出

 第2回

 レポート

 ④鷲谷 ⑤沖 ⑥溝口

 の出題レポートから1つを選択し回答する

 ④第05週(5/18) 鷲谷
 ⑤第06or07週(5/25or6/1) 沖
 ⑥第08or09週(6/8or6/15) 溝口
 第10週(6/22)
 ⇒授業中に紙媒体で提出

 第3回

 レポート

 ⑦柴崎 ⑧喜連川

 の出題レポートから1つを選択し回答する

 ⑦第10or11週(6/22or6/29) 柴崎
 ⑧第12or13週(7/6or7/13) 喜連川
 第14週(7/20)
 ⇒教務BOXに紙媒体で提出

※レポートには学籍番号、氏名、学年、科類、選択した出題番号(①~⑧)を上部に記載すること
※レポートのテンプレートをホームページ上に掲載するのでそれを使用してもよい
※レポートはA4縦向きで左上1か所をホチキスでとめること(表紙はつけない)
※その他詳細については、出題者の指示に従うこと

 

 
   
© EDITORIA, The University of Tokyo